技術試験衛星VII型での宇宙ロボット実験

 技術試験衛星VII型(ETS-VII)は1997年に打ち上げられた、世界?初のそして現在に至るまで世界で唯一の、完全に無人環境で作業する宇宙ロボット衛星です。1999年までの間に、親子2つの衛星に分離して自律ランデブー実験を行うとともに、その表面に搭載された6自由度のロボットアームを用いて宇宙ロボット実験を行いました。通信総合研究所(CRL、現在の情報通信研究機構)では、将来静止軌道プラットフォームなどの宇宙拠点での大型で高精度のアンテナを実現するために、宇宙空間でアンテナを組み立てる研究を進めてきました。木村はこのようなアンテナ組立技術に関する研究の実施責任者として、同士を高精度に結合させる機構をETS-VIIに搭載し、地上からの遠隔操作や画像認識による自律制御でアンテナを組み立てる実験を実施しました.。

 また、こうした実験機会を活用して、情報を音声により提示するオーディオフィードバック技術や、力をフィードバックすることで滑らかな動きを実現するバイラテラル制御技術等についての実験についても実施しました。

 何しろ衛星との通信ができる時間は1回40分程度(TDRSを利用した衛星間通信)、常に即断が必要とされる、まさに時間との戦いの実験でした。?しかも、軌道の関係から実験開始は深夜2時頃から修了は朝10時ごろまでで、衛星にコマンドを送った後確認がとれるまで数秒の時間遅れもあり、なかなかタフな実験でしたが、世界的にも貴重な実験に参加することができて非常に感謝しています。

ETS-VII実験で衛星から送られてきた画像 ETS-VII実験で衛星から
送られてきた画像 アイマークレコーダを用いたヒューマンインターフェース実験 アイマークレコーダーを用いた
ヒューマンインターフェース実験 マスターアームを用いた予測バイラテラル実験 マスターアームを用いた
予測バイラテラル実験