RESEARCH

研究概要

バイオマスガス化による水素(バイオ水素)製造・精製技術の開発・評価

水素社会の実現を目指して、バイオマス資源あるいは廃棄物を間接熱分解ガス化プロセスにより水素を製造する研究を産学連携の下、実施しています。本研究室では、ライフサイクル工学の見地から当該プロセスの適切な運転を目指し、熱的な変換特性(熱交換の把握やガス収量等)、水素濃縮性能といったキーテクノロジーの研究課題を実験とシミュレーションにより実施しています。
  • 熱的性能の把握(熱伝導測定試験機)
  • ガス化速度の測定(熱天秤装置)

水素吸蔵合金によるバイオ水素アプリケーション(アシスト
自転車)の
製作・導入シナリオの策定

  • 固体高分子形燃料電池(PEFC,450W相当)
  • 地域に賦存するバイオマス資源から生成された水素の利用先として、シェアリングをベースにしたアシスト自転車への導入を目指しています。本研究室では、他の研究室も参加し、また産学連携により、モビリティ用の固体高分子形燃料電池(Polymer electrolyte fuel cell, PEFC)と水素吸蔵合金と自転車の複合システムについて、バッテリーの設計や運転特性(需要等)の実測を行い、実装を目指した研究開発を実施しています。
  • 水素吸蔵合金による吸脱着性能の把握
    (水素吸蔵合金カートリッジ性能試験装置)
  • アシスト自転車の性能評価(電動アシスト自転車)
    ※Li-ionバッテリーから燃料電池バッテリーへの代替

ライフサイクル工学に基づくバイオマス間接熱分解ガス化SOFCシステムの性能評価

固体酸化物形燃料電池(Solid oxide fuel cell, SOFC)は炭化水素系の燃料として、高温下で高効率に発電が可能であり、バイオマス資源を熱分解・ガス化して得られる合成ガスと非常に親和性が高いと考えられています。一方で、不純物が含まれる合成ガス(燃料)は、SOFCの性能だけでなく、寿命も低下させます。本研究室では、ライフサイクル工学の見地から、合成ガス(発酵から得られるバイオガスも対象)を利用した性能試験、及び実験結果に基づくプロセスシミュレーターにより最適プロセスの評価を行っています。
  • 固体酸化物形燃料電池
    試験装置
    (SOFC,コインセル)
  • 実験用反応装置

バイオ水素精製の天然吸着材によるガス精製・農業分野への
応用

バイオマス資源あるいは廃棄物から生成される水素中には、燃料電池の性能を劣化させる不純物が含まれています。これらの不純物除去には、金属酸化物の吸着材が使用されますが、この環境影響評価の1つである資源枯渇性においては大きな影響を及ぼします。本研究室では、この代替吸着材として鹿沼土などの天然資源を利用した吸着効果の検証を行っています。また、その使用済み吸着材を肥料として再利用の可能性について言及し、システム全体の環境性や品質の検討を行っています。
  • 静的H2S吸着試験装置
    ※その他、HCl及びNH3の簡易試験装置も保有
  • 流通式H2S吸着試験装置(左:横置き,右:縦置き)
  • H2S分析装置(GC2014)
  • コマツナ栽培試験(例:NH3吸着済み鹿沼土)

自然冷媒(GF-08)を利用した農業産品の品質維持の検証

ノンフロンタイプの冷媒候補の1つとして、炭化水素系の自然冷媒があります。本研究室では、産学連携により、炭化水素系冷媒の冷蔵・冷凍能力を熱力学特性による評価し、また、冷暖房能力の把握、冷蔵領域における農業製品(野菜類)の特性(呼吸熱量や栄養価の変化)について実験的な検証を行っています。この結果から、園芸施設における冷暖房能力、貯蔵施設での冷蔵時の徐熱に伴うエネルギー消費量や栄養変化について、エネルギー管理とライフサイクル工学による複合的な視点から評価を行っています
冷却効果による農産物のCO2濃度測定装置

その他

  • 〇製品の差別化を意識した燃料電池システムのLCA
    IEC-TC105 WG14で検討されている定置型燃料電池のライフサイクルアセスメント指標の開発を行っています。
  • 〇食品ロス低減のための環境・栄養成分等の複合指標の開発 など
    食品の生産、貯蔵、調理に至るまでの環境性、栄養成分の複合指標の見える化(ラベルを含む)を検討しています。
主な利用ソフトウェア Aspen Plus(プロセスシミュレーター)
ANSYS Fluent(CFDモデリング)
SimaPro(LCAソフトウェア)
Milca(LCAソフトウェア)
GAMS(最適化モデリング) など