液晶とは

液晶ってなんだろう?
きっと液晶ディスプレイが頭に浮かんだんじゃないかな?
でもね、実は『液晶』という言葉は、いわゆる『もの』を表す言葉じゃないんだよ。
じゃあ、いったい何なんだって? 実はね、液晶っていうのは『状態』を表す言葉なんだ。

状態ってどういうものなのかって?
『固体、液体、気体』って物質の三状態として習ったかな?
実は液晶というのは、固体・液体・気体と同じ仲間なんだ。
だから、液晶状態を含めると、物質は四つの状態を持つことができる。
でもね、すべての物質が液晶の状態を持っている訳では無いんだ。
このあたりは、別の機会に説明しよう。

さて、液晶という状態について話を進めよう。
液晶は『"液体の流動性"と"固体の異方性"を持つ状態』として定義される。
言い換えれば『柔らかい(形を変えられる)+規則的な構造(硬い分子配列)を持っている』ってこと。

流動性によって形が変わるっていうことは、物質を構成している分子の位置が変わったり、向いている方向が変わったりするってことだ。
液晶ディスプレイに入っている液晶材料も、取り出してみるとドロドロした液体に見える。
つまり、分子の位置が、いろいろ動くことができているってことなんだ。
じゃあ、異方性を持った規則的な構造って何かっていうと、方向によって性質が違うってこと。
液晶ディスプレイでは、液晶材料に電圧をかけることによって、液晶分子の方向を変え、光に対する性質を変えることで表示を行っているんだ。

ここで、ちょっと話を変えましょう。
液晶ディスプレイの以外で液晶が身近に存在していないか考えてみよう。

身近なところでは、僕達の体の中に存在する細胞が液晶状態であることが分かっている。

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私たちの体を構成している細胞膜を例にしよう。
細胞膜の中では分子が規則正しく並んでいる。
人体が金属のように硬くないことからも分かるように、細胞膜ももちろん柔らかい。
つまり『柔らかいのに規則正しい構造』をしている。つまり細胞膜を形作っているのは液晶といえる。
そして、その細胞膜などが集まってできているのが細胞。
細胞も規則正しく並んで、胃などの臓器を形作っている。
つまり細胞も『柔らかいのに規則正しい構造』をしている。だから細胞も液晶だといえる。
そして、液晶である細胞からできている胃などの臓器も液晶といえるよね。
さらに、柔らかい臓器が規則正しく並んでできている人体も液晶だといえるかもしれません。

じゃあ、ここで少し考えてみよう。
人体を形成する設計図ってなんだろう?
そう、それは細胞の核にあるDNAだね。
DNAって『らせん構造』をしていて、とても有名だよね。
DNAが細胞を規則正しく並べて、臓器を形作り、人体を形成している。
つまり体内の液晶は、ぜんぶDNAが規則正しく並べた結果なんだ。
そして、そのDNAも実は液晶なんだ。

こうしてみると、人体に液晶は深く関わっている。
そして、液晶は人体と同じでまだまだ未知な部分が多いんだよ。