研究目的
 互いに混ざり合わない2種類の液体のいずれかの一方が他方へ細粒状に分散した系をエマルションといい、分散安定性を向上させるために、通常は界面活性剤が用いられている。しかし、環境保全の観点から界面活性剤の使用量を低減させる傾向にある。一方で、粒径がナノオーダーの固体微粒子が乳化能を示すことが報告され、界面活性剤無添加で環境保全を考慮したエマルションの調製が期待される。しかし、固体微粒子を乳化剤として用いて調製したエマルションの分散安定性に寄与する諸因子は明らかにされていない。そこで、本研究では乳化剤として疎水性処理をした固体微粒子を用いてエマルションを調製し、分散状態に与える影響について検討している。

将来の方向性
疎水性処理をした固体微粒子を用いて調製したエマルションの分散状態に与える影響を固体微粒子のヌレ性の観点から検討した結果、2種類の液体に適度な親和性を持つ固体微粒子が分散状態に優れたエマルションを調製することが分かった。今後は、この結果を基に様々な固体微粒子に乳化能を持たせ、エマルションの形成メカニズムを探求する予定である。

キーワード

 エマルション、超音波、表面改質、顔料、ヌレ性


関連装置

超音波照射器   →  エマルションの調製
FT-IR       →  表面改質の評価確認
SEM        →  粒子の表面状態の観察
OM        →  エマルションの観察