フィールドシーケンシャルカラー方式
ここでは、次世代ディスプレイ表示方式として期待されている「フィールドシーケンシャルカラー(FSC)方式」という表示方式を紹介しましょう。
FSCとは「Field Sequential Color」の略で日本語で言うならフィールド色順次方式といえるものです。

図に液晶ディスプレイにおける表示方式を示しました。
現在市販されている全ての液晶ディスプレイは面分割という方法で表示が行なわれています。面分割とは、1画素を色の3原色である赤・緑・青(RGB)の3つに分割し、その色の合成で全ての色を表示させる方式です。
この方式では、例えば赤だけを表示させる場合には、緑と青の面は光を遮断し黒にします。そのため、赤だけを表示させるとしても光の強度の3分の1しか利用できません。
また、面で分割するため、1画素を3つに分割する微細加工が必要になり画素数の限界があります。
そこで、面で分割するのではなく時間で分割してしまおうというのが、フィールドシーケンシャル方式です。
180分の1秒という非常に速いスピードで赤・緑・青の3色の画面を切り替えることによって画像を表示しています。
通常の1画素を全て使って発色するので、面分割に比べ明るい画像を得る事ができます。(開光率が高い)
しかし、このように画面を素早く切り替える方式のため、色割れ(カラーブレーキング)という現象が起こります。この現象は視点が動いたりした場合に、画面の色が分離して見えてしまう現象です。
この現象を起こさないようにするためにも、180分の1秒ではなく、さらに速い数百分の1秒という高速で切り替えないといけないといわれています。
ただし、現在液晶ディスプレイに用いられているネマチック液晶は応答速度が数msであり、このような高速の切り替えには対応できません。 よって、フィールドシーケンシャル方式を実現するためには、応答速度が数十μsと高速応答が可能な強誘電性液晶の応用が不可欠になります。 しかし、「強誘電性液晶」でお話したように強誘電性液晶は応用が難しく、フィールドシーケンシャル方式が実現されていない要因の一つになっています。
[参考文献]
図解入門よくわかる最新ディスプレイ技術の基本と仕組み 秀和システム 西久保靖彦著 2003