研究の流れ

 4年次は、N Engl J Med, Lancet, JAMA, BMJ, Ann Intern Medといった主要医学雑誌に掲載される論文を毎号読み、読解力を養いつつメタアナリシスの手法を使った調査系の研究を実施します。

 5年次は、4年次の調査系研究を学会発表としてまとめ、さらに病院と薬局で実習をしながら、実際の医療現場で研究のシーズ(種)を探索します。この探索を通して、自分が今まで学んだ薬学をどのように活かしていきたいか、見えてくることでしょう。

 6年次は、実習で見つけたシーズをもとに、実験系の研究を行います。例として、新たな院内製剤の提案、より適切な薬物の投与方法の検討などが挙げられます。

メタアナリシスとは何か

 医学分野では様々な研究対象・方法があるため、各種バイアスが入りやすいという特徴があります。そのバイアスを極力除き、統一した客観的な評価基準で、研究結果を評価するために用いるのがメタアナリシスという統計手法です。メタアナリシスでは、過去に独立して行われた複数の臨床研究のデータを統合・分析し、より信頼性の高い結果を導き出します。

 あたりまえだと思っているその薬の使い方、本当に正しいの? その治療法は本当に効果があるの?

 そうした疑問に答えを出すのがメタアナリシスです。

実験と解析 -なぜ両方行うのか-

 それは、自ら問題を解決出来る薬学生を育てるためです。広く社会において、物事を効果的に進めるためには、「計画」、「実行」、「結果の評価」、「改善された次の計画」というサイクルをつくりだすことが大切です。このサイクルを科学に当てはめると、仮説を立て、研究計画をつくり、実験を行い、その結果を解析・評価した上で、さらなる仮説を立てて真実に近づいていく、そんなサイクルが見えてきます。

 ひとりの科学者として、学んだ薬学を活かしてこれからの社会を変えていく。そのためには、「自ら実験を計画し遂行する能力」と「データを解析し評価する能力」、その両方を身につけることが必要なのです。

平成30年度 研究テーマ

6年生

  • 大島 美奈都 「オメプラゾール低張電解質輸液(維持液)との輸液ルート内での配合変化」
  • 太田 祐里奈 「特発性血小板減少性紫斑病患者を対象としたエルトロンボパグの有効性に関する変動因子の探索」
  • 冨岡 ひかる 「L-Cysteineが引き起こすビアペネムとアミノ酸輸液製剤の輸液ルート内での配合変化」
  • 森永 博子 「アンピシリンと糖質輸液用製剤の配合変化」

4年生

  • 笠井 美佳 「緑内障に対するプロスタグランジン関連薬への多剤併用療法の有効性と安全性の評価 -β遮断薬と炭酸脱水酵素阻害薬との比較-」
  • 佐々木 一生 「アジアの2型糖尿病に対するSGLT2阻害薬の心血管イベント抑制効果」
  • 中川 祐策 「術後患者のせん妄に対するハロペリドールの予防効果」
  • 山﨑 優 「好酸球型COPDに対する抗IL-5/IL-5受容体α抗体薬の有効性と安全性の評価」
  • 山崎 紗映 「重症成人患者に対する静脈内輸液と患者の転帰について ー生理食塩液と調整晶質液との比較ー」

平成29年度 研究テーマ

6年生

  • 石田 みのり 「L-Cysteineが引き起こすドリペネムとアミノ酸輸液製剤の輸液ルート内での配合変化」
  • 岩崎 知美 「L-Cysteineが引き起こすメロペネムとアミノ酸輸液製剤の輸液ルート内での配合変化」
  • 鵜澤 穂波 「原発性開放隅角緑内障の薬物療法におけるプロスタグランジン関連薬とチモロールの併用療法の有効性と安全性の評価」
  • 沼田 郷平 「液滴分散型チューブ入りステロイド系皮膚外用剤の加温溶融後の主薬均一性および多剤との混合後の安定性」
  • 坂東 麻衣子 「ぶどう膜炎の薬物療法におけるステロイド抗炎症薬点眼剤の有効性と安全性の評価」
  • 森籐 綾花 「抗生物質製剤の点滴投与時に発生する滴容量変動要因の解析」

4年生

  • 石田 理絵子 「透析患者に合併する高リン血症に対する沈降炭酸カルシウムとセベラマー塩酸塩との有効性の評価」
  • 加藤 綾乃 「初発未治療の慢性骨髄性白血病に対する第二世代チロシンキナーゼ阻害薬の有効性と安全性の評価」
  • 廣田 佳美 「経皮的冠動脈インターベンション施行患者に対するエベロリムス溶出ステントとゾタロリムス溶出ステントの長期使用における有効性と安全性の比較」
  • 伏見 範子 「閉経後乳癌患者へのアロマターゼ阻害薬投与による骨折に対するビスホスホネート製剤の有効性と安全性の評価」
  • 村上 桃子 「プロトンポンプ阻害薬の使用と心血管イベント発症リスクの関係」

平成28年度 研究テーマ

6年生

  • 川崎 真季 「糖尿病性腎症に対するACE阻害薬とARBの併用療法の有効性と安全性の評価」
  • 久保 実季 「2型糖尿病に対するSGLT2阻害薬の有効性および安全性の評価」
  • 小濱 萌衣 「ケトチフェンフマル酸塩点鼻液の鼻腔内の薬剤沈着量の評価-吸息運動の影響-」
  • 澁木 克也 「インスリン療法で血糖コントロールが不十分な成人2型糖尿病患者に対するDPP-4阻害薬追加療法の有効性と安全性の評価」
  • 髙山 璃紗 「褥瘡治療を目的としたブクラデシンナトリウム含有熱応答性スプレー剤の薬剤学的評価」

4年生

  • 大島 美奈都 「COPD患者に対するインダカテロールまたはLAMAによる治療法の有効性と安全性の評価」
  • 太田 祐里奈 「未成年のうつ病患者へのセロトニン再取り込み阻害薬の使用による自殺に関連するアウトカムの増加」
  • 冨岡 ひかる 「2型糖尿病患者の糖尿病大血管症の予防における糖尿病治療薬の有効性の評価」
  • 森永 博子 「気管支喘息治療における吸入ステロイド薬と長時間作用型β2刺激薬の長期併用療法の有効性と安全性の評価」

平成27年度 研究テーマ

6年生

  • 岩野 友香 「褥瘡治療を目的としたブクラデシンナトリウム含有新規剤形の開発」
  • 岡本 奈美 「足白癬に使用される抗真菌外用薬の角質への親和性の評価」
  • 繁田 紘子 「ケトチフェンフマル酸塩点鼻液の容器形状が鼻腔内の薬剤沈着量におよぼす影響の評価」
  • 永井 淑恵 「チューブ入りステロイド系皮膚外用剤の加温溶融後の主薬均一性について」
  • 細田 拓矢 「静脈内注射用鉄剤の静脈ライン用フィルター通過後のコロイド安定性に関する研究」
  • 山下 浩平 「ドキソルビシン塩酸塩の薬剤溶出性球状塞栓物質に対する各種条件下での吸着の検討」

4年生

  • 石田 みのり 「てんかんの薬物療法における新規抗てんかん薬を用いた単剤療法の有効性と安全性の評価」
  • 岩崎 知美 「脂質異常症の薬物療法におけるPCSK9阻害薬の追加療法の有効性と安全性の評価」
  • 鵜澤 穂波 「原発性開放隅角緑内障の薬物療法におけるPG関連薬とチモロールの併用療法の有効性と安全性の評価」
  • 沼田 郷平 「アトピー性皮膚炎に対するピメクロリムス外用剤の有効性の評価」
  • 坂東 麻衣子 「ぶどう膜炎の薬物療法における各種点眼剤の有効性と安全性の評価」
  • 森籐 綾花 「血液透析患者に対する糖尿病治療薬の有効性および安全性の評価」

平成26年度 研究テーマ

6年生

  • 江口 雄太郎 「足白癬に使用される各種抗真菌外用薬の角質への貯留性の比較」
  • 鴫原 貴大 「チューブ入りステロイド系クリーム剤の加温溶融後の主薬均一性について」
  • 諏訪 貴美 「潰瘍性大腸炎に対するフルチカゾンプロピオン酸エステル坐薬の放出性の検討」
  • 塚原 翔子 「携帯型持続注入ポンプへの最適な薬液充填方法の検討-ポンプ内の薬液混合性に対するポンプの種類および充填方法の影響-」
  • 挾間 智子 「Lipo-PGE1製剤の輸液への混合による問題の検討」
  • 原 美友紀 「種々のケトチフェンフマル酸塩点鼻液の薬剤学的な評価」
  • 谷内 文香 「注射用セフピロム硫酸塩製剤の品質評価-炭酸ガス発生による点滴筒内の液面低下-」
  • 河野 早由里 「一般用医薬品の点鼻液の薬剤学的な評価」

4年生

  • 川﨑 真希 「糖尿病性腎症に対するACE阻害薬とARBの併用療法の有効性と安全性の評価」
  • 久保 実季 「2型糖尿病に対するSGLT 2阻害薬の有効性および安全性の評価」
  • 小濱 萌衣 「非心原性脳梗塞慢性期に使用すべき最適な抗血小板薬の評価」
  • 澁木 克也 「2型糖尿病に対するDPP-4阻害薬を用いた併用療法のポテンシャルの評価」
  • 髙山 璃紗 「C型慢性肝炎に使用すべき最適な薬剤の評価」

平成25年度 研究テーマ

6年生

  • 岩井 一起 「セフタジジム水和物製剤の品質評価-炭酸ガス発生による点滴筒内の液面低下-」
  • 顧 有希帆 「種々の抗酸化剤を添加したヒドロキノン軟膏の調製と安定性評価」
  • 佐野田 惇生 「足白癬に使用される各種抗真菌外用薬の角質への貯留性の比較」
  • 杉山 むつみ 「種々のフルチカゾンプロピオン酸エステル点鼻液の薬剤学的な評価」
  • 田口 怜奈 「潰瘍性大腸炎に対するフルチカゾンプロピオン酸エステル坐剤の放出性の検討」
  • 田仲 正輝 「Lipo-PGE1製剤の輸液への混合による問題の検討」
  • 山下 尚人 「潰瘍性大腸炎に対するフルチカゾンプロピオン酸エステル注腸剤の調製と製剤学的検討」
  • 山田 祐美 「携帯型持続注入ポンプへの最適な薬液充填方法の検討-ポンプ内の薬液混合性に対するポンプの種類および充填方法の影響-」

4年生

  • 岩野 友香 「前立腺肥大症に合併する過活動膀胱症状を有する患者における、選択的α1アドレナリン受容体拮抗薬と抗コリン作用薬の併用療法の有効性と安全性」
  • 岡本 奈美 「ドライアイ治療薬の有効性の評価」
  • 繁田 紘子 「急性鼻副鼻腔炎における抗菌薬の有効性の評価」
  • 永井 淑恵 「うつ病に対するSt. John's wortの有効性の評価」
  • 細田 拓矢 「Restless legs症候群に対する治療薬の有効性の評価」
  • 山下 浩平 「腎移植後サイトメガロウイルス感染症の予防に対する抗ウイルス薬の早期投与法と予防投与法との有効性の評価」
  • 小濱 萌衣 「非心原性脳梗塞慢性期に使用すべき最適な抗血小板薬の評価」

平成24年度 研究テーマ

4年生

  • 江口 雄太郎 「ST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)に対するt-PA製剤を用いたfacilitated PCIの有効性評価」
  • 鴫原 貴大 「小児気管支喘息に対するICS/LABA併用治療の有効性評価」
  • 諏訪 貴美 「子宮内膜症に対するGnRHアゴニストの有効性の比較」
  • 塚原 翔子 「象牙質知覚過敏症に対する歯磨剤の有効性評価」
  • 挾間 智子 「乳がん治療におけるtoremifeneの有効性評価」
  • 原 美友紀 「高尿酸血症に対する尿酸産生阻害薬の有効性評価」
  • 谷内 文香 「帯状疱疹後神経痛の予防における抗ウイルス薬の効果の比較」
  • 河野 早由里 「片頭痛予防薬の有効性評価」

平成23年度 研究テーマ

6年生

  • 大橋 知佳 「潰瘍性大腸炎への適用を目指した fluticasone propionate 注腸剤の薬剤学的な検討」
  • 駒嶺 真希 「ビタミンB12製剤とビタミンC製剤の輸液中における配合変化の検討」
  • 酒井 繁彰 「皮膚色素沈着症に適用されるヒドロキノン製剤の薬剤学的な検討」
  • 佐藤 彩 「調剤後の内用液剤の光安定性および調剤方法の適正化」
  • 三瓶 みなみ 「種々の fluticasone propionate 点鼻薬の薬剤学的な評価」
  • 城山 亮輔 「Lipo-PGE1 製剤の輸液配合使用の問題の検証」
  • 野田 岳郎 「潰瘍性大腸炎への適用を目指した fluticasone propionate 坐剤の薬剤学的な検討」

4年生

  • 岩井 一起 「非肥満2型糖尿病に対するメトホルミンの有効性評価」
  • 顧 有希帆 「心房細動による塞栓予防に対するダビガトラン及びワルファリンの効果と副作用の比較」
  • 佐野田 惇生 「皮膚真菌症に使用される各種抗菌薬の治療効果の比較」
  • 杉山 むつみ 「無痛分娩時に用いる局所麻酔薬が母体と胎児に与える影響」
  • 田口 怜奈 「肩こりおよび肩関節周囲炎に対する薬物療法の評価」
  • 田仲 正輝 「男性型脱毛症(AGA)に対する finasteride と minoxidil の有効性評価」
  • 山下 尚人 「抗リウマチ薬の使用に伴う間質性肺炎発症リスクの検討」
  • 山田 祐実 「うつ病に対するビタミンB群投与の有効性評価」

平成22年度 研究テーマ

  • 浅沼 佑太 「薬剤誘発性の発がんの危険性評価」
  • 阿部 あかね 「重症潰瘍性大腸炎に対する治療ガイドラインの正当性評価」
  • 川島 千夏 「イレウスに対する大建中湯の効果の評価」
  • 高橋 洸 「添付文書の記載内容の整合性評価~抗不安薬・催眠薬とrifampicinの相互作用を中心に~」
  • 山本 佳奈 「不眠症に対するアロマテラピーの有効性評価」
  • 横田 裕之 「2型糖尿病に対するmetformin-pioglitazone併用療法の有効性評価」

平成21年度 研究テーマ

  • 大橋 知佳 「薬剤誘発性心筋炎の原因薬物とその危険性評価」(要因分析)
  • 駒嶺 真希 「抗サイトカイン療法による結核の発症とその予防」(メタアナリシス)
  • 酒井 繁彰 「関節リウマチに対する疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)の有用性の比較」(メタアナリシス)
  • 城山 亮輔 「Acetaminophen投与による小児喘息発症リスクの検討」(メタアナリシス)
  • 野田 岳郎 「パーキンソン病治療薬による精神障害と治療法の評価」(統計分析)

平成20年度 研究テーマ

  • 石井 めぐみ 「乳がんの一次予防に関する調査研究」(メタアナリシス)
  • 恩田 愛子 「異なる方法で調製されたバルプロ酸坐剤の製剤学的検討」(製剤試験)
  • 林田 雄介 「活性化ビタミンD3軟膏の安定性に及ぼす基剤の影響について」(製剤試験)
  • 三村 恵理 「PTP包装状態における各種nicorandil製剤の安定性評価」(製剤試験)

平成19年度 研究テーマ

  • 遠藤 ひろ美 「前立腺癌のアンドロゲン除去療法による骨粗鬆症に対するビスホスホネート類の予防効果の検討」(メタアナリシス)
  • 宮本 仁 「各種nicorandil製剤の安定性評価 一包化製剤のための情報提供を目指して」(製剤試験)
  • 安永 奈央 「坐骨神経痛及び腰痛に対する硬膜外注射に併用される副腎皮質ステロイドの有用性に関する調査研究」(メタアナリシス)
  • 山内 可南子 「副腎皮質ステロイドローション剤の混合処方の実態調査とその薬剤学的検討」(アンケート調査・製剤試験)

平成18年度 研究テーマ

  • 荒井 ちさと 「下肢有痛性筋痙攣に対する各薬物の臨床効果に関する調査研究」(メタアナリシス)
  • 岡崎 加奈子 「無包装状態における各種nicorandil製剤の安定性」(製剤試験)
  • 落合 紘美 「薬剤誘発性骨粗鬆症の原因薬物とその影響に関する調査研究」(メタアナリシス)
  • 杉本 修一 「統合失調症に対する治療薬物のメタアナリシスによる検討-多剤併用療法 vs. 新薬単剤療法-」(メタアナリシス)