大型水平開水路について

概要

2015年2月に大型水平開水路を導入しました.以下に特徴を列挙します.

  • 寸法は,長さ20m,幅1.0m,高さ1.8mであり,高さが比較的大きいのが特徴です.
  • 上流側には大型ポンプ2台(合わせて最大0.26m3/s)が設置されており,流量計(アズビル(株))のデータを見ながら,バルブで流量を調整しています.
  • 上流部に整流板(パンチングメタル)を設置し乱れを抑制します.また,取り外し可能な堰を設け,定水位浸透実験を行います.
  • 下流部には,可動式の堰(長さ1.0m)が設置されており,水深1.0mまで任意に調節することができます.
  • 側面が強化ガラスで作製されている区間を10m設けており,側面からの観察ができます.
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応用例1:模型堤防実験

実物大スケールの実験水路に模型の堤防(堤体高さ;1 m)を作製し,河川堤防の洪水に対する安全性を把握すると共に,堤防強化対策を検討しています.ポンプから水を流入し,定水位用の堰をポンプ上流側に設けることで,定水位の浸透実験を行っています.また,大型ポンプを用いて越水実験も行っています.

現行の河川堤防(裸堤や天端舗装のみ)では,越水により堤防の侵食が生じ,決壊に至る時間が短いことが分かりました.そのため,本研究室では,越水・浸透・地震に対する強化技術として,薄層強化ドレーン(Laminar Drain Reinforcement,LDR)堤防を提案し,その有効性を実証しつつあります

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  1. 倉上由貴・二瓶泰雄・森田麻友・菊池喜昭:耐越水性・耐浸透性を兼ね備えた薄層ドレーン強化堤防の提案,ジオシンセティックス論文集,Vol.31,pp.191-198,2016.
  2. 倉上由貴・浅野友里・篠原麻太郎・二瓶泰雄・成島一輝・町田陽子・桜庭拓也・菊池喜昭:ドレーン工の配置条件による堤体内の浸潤面・浸透安定性の変化,土木学会論文集B1(水工学),Vol.73,No.4,pp. I_1333-I_1338,2017.
  3. 公開実験: YouTube

応用例2:水中歩行避難実験

大型水平開水路内にて水中歩行することにより,浸水時の避難行動特性を把握する実験を行っています.実験条件としては,静水及び流水の水理条件,障害物の有無や濁水状況などを変化させて,様々な過酷環境下において歩行特性を把握しています.

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  1. 水野力斗・二瓶泰雄:様々な環境条件下における水害避難時の歩行速度に関する実験的検討,土木学会論文集B1(水工学),Vol.72,No.4,pp. I_1333-I_1338,2016.
  2. Eテレ,2017年3月16日 学ぼうBOSAI:「地球の声を聞こう 河川氾濫に備えよう」

メディア

  1. 2015年11月17日に鬼怒川の堤防決壊に関する公開実験を行いました.NHKを始めTV4社,多数の新聞に取り上げて頂きました.
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  2. 本研究室・D1(当時)の倉上さんが「未来への起源(TBS)」に出演しました(2016年1月10日放送)
  3. 本水路を用いた実験の様子を「学ぼうBOSAI(Eテレ)」で取り上げて頂きました.

SNS

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