研究目的
 近年、当研究室では油ゲル化剤を用いることにより簡便に多孔質中空粒子を作製する“界面ゲル化反応法”という方法を開発した。これは、油相(油ゲル化剤/油剤/無機酸化物前駆体の混合溶液)に水滴を滴下し、水/油界面において油ゲルと無機酸化物の混合膜を形成させ、その後、焼成により中空粒子を調製する方法である。これまでに、シリカ、アルミナ、酸化チタンなどの無機酸化物を壁材に持つ中空粒子の作製に成功してきた。界面ゲル化反応法により調製される中空粒子は、内部に空孔を有し、壁膜に多数の細孔が存在するため、多孔質・高比表面積・低比重などの特徴を持つ。そのため、さらに中空粒子壁膜に触媒活性点を付与できれば、中空構造を有した新規触媒材料として広範な分野での応用が期待できる。そこで本研究では、触媒活性点となる金属を担持させた金属担持中空粒子を調製することを目的としている。

将来の方向性
 現在までに、界面ゲル化反応法のプロセス中に金属前駆体を添加することで金属(白金およびパラジウム)を担持させた中空粒子の調製に成功している。また、添加する金属前駆体の溶解性により担持位置が制御できることが分かった。本法は、触媒担体の調製と活性金属の担時が同時に行えるため、一般的な金属担持法と比べ、簡便かつ有用であると考えられる。そのため、新規の触媒調製法として期待される。

キーワード

 界面ゲル化反応法、金属担持中空粒子、新規触媒調製法


関連装置

SEM(走査型電子顕微鏡)         →  中空粒子壁膜観察
XRD(X線回折測定)           →  担持された金属の確認、結晶子サイズの測定
EPMA(電子プローブマイクロアナライザー)→  金属担持状態観測