研究目的
 光触媒としてよく知られている酸化チタンは、環境汚染物質の光分解、湿式太陽電池、光治療など様々な分野での応用が期待されている。この光物性を効率的に発現するためには、使用目的に応じてその形態を最適化することが重要となってくる。その形態制御の中でも薄膜化は最も活発に研究が行われている分野の一つである。様々な薄膜化技術が報告されているが、原子レベルでの薄膜調製は困難であり、表面改質などの観点からも早急に解決すべき問題となっている。一方、当研究室ではこれまでに、カチオン性の界面活性剤がチタニア合成の際に触媒として機能することを見出し、その機構を利用し、様々な形態を有するチタニアの調製に成功した。そこで本研究では、カチオン性界面活性剤と同様の親水基を有するシランカップリング剤を用い、それにより修飾されたガラス基板上にチタニアの薄膜調製およびその超薄膜化を行うことを目的としている。

将来の方向性
 現在ではディップコート(以後DC)は薄膜を作成する上で非常に重要な技術となっている。本研究は、従来のDCでは困難とされていた、原子レベルでの一層のみをコートした新規薄膜の調製法を提供するとともに、本研究は、基板の表面改質を行う新たな技術を提供するものとなりうる。また、色素増感型太陽電池などへの応用も見込むことが可能である。

キーワード

 酸化チタン 薄膜 シランカップリング剤


関連装置

薄膜X線回折装置      →  チタニアの結晶構造の同定
紫外可視吸収分光光度計   →  チタニアの形成確認および薄膜の透過率測定
走査型電子顕微鏡      →  薄膜の表面観察