研究目的
 界面活性剤などが形成する分子集合体を鋳型として調製されるメソポーラス材料は規則的な細孔構造、高い比表面積を持つことから触媒担体や分子レベルでのフィルター等、様々な分野から高い注目を集めている。通常これらの材料の壁膜はアモルファスであり、壁膜に結晶構造を付与することができれば化学的および物理的特性を加えることができ非常に有用な材料になることが予想される。しかしながら、第三物質(柱として機能するような化合物)の添加を行わずに、焼成などの処理により鋳型を除去する工程を加えると、規則的な細孔構造が崩壊するといった欠点を有していた。一方、近年、チタニアのアナターゼやルチル構造の低温合成法の確立が報告され注目されている。そこで本研究では、このチタニアの低温合成技術を応用し、壁膜に結晶構造を有するメソポーラスチタニアの直接合成を行うことを目的としている。

将来の方向性
 これまでに、壁膜にアナターゼ構造を有するメソポーラスチタニアの調製に成功した。現在では、アナターゼとルチルの混晶を壁膜にするまでに至っている。今後はルチル結晶のみを壁膜に持つメソ材料などの調製を行うことで、使用用途にあわせたメソポーラスチタニアを提供することが可能になると考えられる。その一方、このメソポーラス材料の形成機構を明らかにしたことから、今後の有機?無機複合材料の創製に一石を投じる成果であるとも考える。

キーワード

 メソポーラス材料、超分子化学、チタニアナノ結晶


関連装置

透過型電子顕微鏡  →  細孔構造の直接観察
窒素吸着      →  比表面積の測定