研究目的
ニオソームとは非イオン界面活性剤からなる二分子膜の閉鎖小胞体(ベシクル)であり、リン脂質からなるリポソームと同様、薬物送達システム(DDS)への応用が期待されている。しかし今までのベシクル調製法の多くは有機溶媒を使用しているため、人体および環境に対する残存溶媒の影響が懸念されている。そこで当研究室では、有機溶媒の代わりに超臨界二酸化炭素(scCO2)を用いた新規ベシクル調製法(scCO2法)を考案した。しかし、この方法によるニオソーム調製の最適条件やその形成メカニズムについては十分な知見が得られていない。そこで本研究では、scCO2法におけるニオソームの最適調製条件を検討し、得られたニオソームの物性を評価することを目的とする。

将来の方向性
DDSに用いる際、カプセルの生体適合性は絶対条件である。よって若干の細胞毒性を持つ非イオン界面活性剤からなるニオソームをDDSに用いることは難しいが、化粧品等の経皮吸収に対しては有用な剤型になることが期待される。実際に論文等で薬物をベシクルに内包し、経皮吸収試験を行ったところ、薬物単独よりも皮膚への吸収率が高いこと、カプセルとして用いているため薬物の劣化を防げることなどが報告されている。よって本研究でも化粧品等への応用が期待される。

キーワード

 非イオン界面活性剤、ニオソーム、超臨界二酸化炭素法


関連装置

動的光散乱測定装置         →  粒子径測定
示差走査熱量測定装置 (DSC)    →  相転移温度測定
光学顕微鏡             →  ベシクル形成確認
フリーズレプリカ作製装置     →  レプリカ作成
透過型電子顕微鏡 (TEM)      →  膜の表面観察