研究目的
リポソームとは、生体膜の主要構成成分であるリン脂質により形成される閉鎖小胞体であり、生体適合性が非常に高いことが利点として挙げられる。この性質を活かして、近年では薬物送達システム(DDS)への応用が試みられている。しかし、リポソームの実用化に適した効率の良い調製法が確立されていないということがこれまでに大きな問題点とされてきた。これまでに様々な調製法が提案されたが、いずれの調製法も有機溶媒を多量に使用し、保持効率が小さくなる、調製が多段階プロセスで大量生産ができないという欠点が挙げられる。そこで、有機溶媒に代わる高機能性代替溶媒として知られている超臨界流体に注目した。なかでも超臨界二酸化炭素(scCO2)は、二酸化炭素が天然に豊富に存在するために安価であり、毒性がなく、その臨界温度・圧力が31.1℃、73.8barと比較的到達しやすく、ヘキサン等の無極性溶媒と比較的類似した性質を持っている。そのため、scCO2は常温付近における環境調和型の大体溶媒として注目されている。

将来の方向性
font-size : 10.5pt;mso-bidi-font-size:10.0pt;有機溶媒を使用せず高機能を持ったリポソームの調製に成功した。この成功はDDSを標的としたリポソーム実用化へ向けて大きな前進であると考えられる。そこで、水溶性薬物だけでなく、タンパク質やDNAなどをリポソームに導入し、細胞へ投与した際にタンパク質やDNAが機能を発現するのか検討する。

キーワード

 超臨界二酸化炭素法、保持効率


関連装置
紫外可視分光光度計     →  保持効率測定 
示差走査熱量計(DSC)     →  相転移温度測定
フリーズレプリカ作製装置  →  レプリカ作成 
透過型電子顕微鏡 (TEM)    →  表面構造、形状観察