研究目的
界面活性剤混合水溶液は、各成分の単独水溶液では観測されない興味深い相挙動を示す。カチオン/アニオン界面活性剤混合水溶液は、一般の界面活性剤溶液と比べ希薄な系においても様々な分子集合体を形成する。特に細胞モデル、微小反応場などへの応用が期待されるベシクルが、外力を加えずに自発的に形成することが注目されている。しかし、通常、等モル比付近では不溶性の塩を形成し易いため、実用化が困難であるのが現状である。そこで本研究では、沈殿の形成しにくい分散安定性に優れるベシクルの調製を目的としている。

将来の方向性
現在までに混合による沈殿形成を抑制するために、カチオン界面活性剤として親水性の強いノニオン性のポリグリセリン基をアルキル4級アンモニウム塩に修飾したものを用い、アニオン界面活性剤(アルキル硫酸塩)との混合水溶液における界面物性の検討を行った。その結果、カチオン/アニオン界面活性剤混合水溶液が等モル付近においても、沈殿を形成せずに、ベシクルが形成することが分かった。今後は、このベシクルの実用化に向け生体適合性のある界面活性剤などを用いることも検討する。

キーワード

 自発形成ベシクル、カタアイオニック(Catanionic)界面活性剤、ナノテクノロジー


関連装置

Cryo-TEM     →  ベシクルなどの分子集合体の観察
動的光散乱    →  分子集合体の粒子径分布測定
ζ電位       →  分子集合体の表面電荷測定