液晶の配向とラビング処理


この章では、液晶を配向させる技術であるラビング処理について話して行こうと思う。
ラビングとは、英語の「rub」つまり「こする」という意味からきている。
実際のところ、ラビング処理は本当にこする事を行なう。
下図を見てもらいたい。
これがラビング処理最も簡単な方式の模式図である。
ラビング処理には多くの場合、ラビング布と呼ばれるローラーに巻きつけた布を基板に塗布した配向膜と呼ばれるポリイミドをこする事で様々な特性を配向膜に付加するのです。
ラビングすることで液晶分子はラビング方向へ配向、つまりその方向を向き、また、プレチルト角という基板からの立ち上がりの角度を持つことができます。しかしそれらが起こる要因は実は未だ詳細には解明されていません。
それはなぜか?
ラビングによってどうして液晶分子が配向するのかという要因はいくつも考えられている。

  @ラビング布がポリマーをこする事により電気的な異方性ができる
  A高分子鎖が延伸されることによって液晶分子が配向する
  Bラビングにより配向膜のネットワークが切られることにより異方性が発生
  C液晶分子に比べ非常に大きな溝ができることにより異方性が生じる

しかし、どうしても確証を得る事ができない。
それは、これらひとつひとつの要素について個別に調べる事ができないからである。
電気的な異方性を付与しようと思うと、必ず他の物理的な異方性が現れてしまうのです。
そのため、これらの要素が様々に液晶分子へ影響し合い、液晶分子を配向させている"だろう"と考えられています。

また、このようなラビング布をこする事による配向制御以外にも、ラビング処理は存在します。
そのうちのひとつを紹介しておきましょう。
ラビング布によるラビングが物理的な物であるなら、化学的にラビングを行なっているものがあるのです。
そのひとつが、光配向というものです。
光配向法とは読んで字のごとく、光によって配向させる方法で、塗布した配向膜にある方向からUVのような高エネルギーの光を照射します。
そのことによって、配向膜のある方向だけ結合が切れ、結果的に異方性を有する事になります。
この配向方法は、ラビングにラビング布をまいたローラーのような大きな装置が不必要なため、非常にプロセスとして注目されている技術ではありますが、ラビング布を用いた配向方向に比べ配向力、 いわゆる付加できる異方性が小さいため、実用化まであと少し研究・開発が必要といったところでしょう。

[参考文献]
液晶便覧 丸善 液晶便覧編集委員会 2000

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