液晶ディスプレイの表示モード
ここでは、この章を書いている2007年2月現在、液晶ディスプレイに用いられている主な表示方式3つを紹介しようと思う。
液晶ディスプレイの表示方式は、どのディスプレイでも同じではなく、ディスプレイを作っている会社によって異なる。
どの表示方式も液晶ディスプレイの欠点となっている「表示(応答)速度・視野角・コントラスト比」の改善。または製造プロセスの簡略化によるコストカットを狙ったものである。

上図に3つの主な表示方式の模式図を示した。
左から順に紹介していこう。
まず、マルチドメイン垂直配向型(MVA方式)
垂直に液晶分子を立たせることによってラビング処理という工程を省略できるため、製造プロセスが簡略化できる。
また、マルチドメイン、つまり細かく区切り液晶分子の方向を2方向にしているために高視野角を実現している。
次に、インプレーン(面内)スイッチング方式(IPS方式)
面外方向ではなく、面内方向でスイッチを行なうために、応答速度が速くできる方式である。
また全ての分子が同じ面から動く事が無いので、視野角も広くなっています。
最後に、OCB(曲がり配列型)方式と言われているものです。
液晶ディスプレイにおいて液晶層の厚さが2分の1になれば応答速度は4倍になると言われています。
そこでOCB方式では、液晶層の中心の液晶分子を立たせ、固定化することで、見た目として上下の2層に分かれた液晶ディスプレイのようになっています。
また、電圧が印加されて分子がスイッチングするとき、分子の流れ(フロー)が生じます。この流れがOCBモードでは他のモードと違い全ての分子が同じ方向に流れを持つことになります。
そのため、応答速度が他の表示方式より速いという利点があります。
しかし、この複雑な配向の実現は難しく、現在も研究が進んでいる方式でもあります。
[参考文献]
図解入門よくわかる最新ディスプレイ技術の基本と仕組み 秀和システム 西久保靖彦著 2003