薬物治療は医療の最も有用な手段の1つであり、薬剤師は、その有効性を最大限に 引き出し、かつ安全性を確保するために、チーム医療スタッフの一員として、薬学的 知識および技術を駆使し、調剤、製剤、服薬指導などを行っています。 当研究室では、薬物治療における薬学的問題点を、薬剤師の視点から抽出、解析し、 それらを解決、回避するための方法を構築することを目的とした研究を行っています。 1. 薬剤の適応外使用による新規療法のエビデンスの確保には、国内外の報告を収 集して解析します。また実験によってエビデンスを作り出します。にきびや色素 沈着症に対する新規外用剤の開発では、製剤処方、安定性、安全性および有効性 の検討を行っています。注射薬が輸液ラインやフィルターなどの医療器具に吸着 して必要な薬物量が投与されずに効果が減弱することがありますが、回避方法の 構築が重要となります。 これらの研究は、病院や薬局との緊密な連携により実施しています。 2. これまでの薬物相互作用に関する臨床研究は「まだ報告されていない薬物相互 作用を見つけ出す」研究が多く、またそのような研究が注目されてきました。 しかし、このような研究では相互作用が強く惹起されるようなプロトコールが 組まれることも多く、投与量が臨床で用いられる用量から逸脱しているケースや、 研究結果から導きだされた服用時間が複雑となり臨床応用することが困難なケー スも見受けられます。そのような場合、薬剤師が疑義照会で具体的な処方再設計 を医師に提案する際や患者への服薬指導を行う際の有用な情報源とは必ずしも言 えません。 そこで、臨床現場で薬剤師が具体的な処方再設計を医師に提案したり患者に対 して服薬指導をしたりする際の情報源を確立し、処方頻度や投与時間なども考慮 して、臨床応用が可能な相互作用回避方法の提案に発展させるための研究を行っ ています。