日本初の情報科学科について (富澤貞男) 東京理科大学


東京理科大学の理工学部情報科学科の歴史 について簡単に紹介します:

 國澤清典先生(理学博士)がこの学科を昭和51年 (1976年)の4月に創設され,令和7年度(2025年度)で創設から50年目になる長い歴史があります.これまで約6000名がこの学科で「情報科学」を学び社会で活躍しています.(創設時は理工学部のキャンパスには現在の講義棟も図書館も中庭もなく,大草原の中に5号館と6号館(情報科学科)がありました).

 國澤先生は大阪帝国大学の理学部数学科のご出身です.先生は昭和45年(1970年)に東京工業大学の理学部に日本で初めて情報科学科を創設されました.その後,先生は,昭和51年(1976年)に東京理科大学の理工学部にも私立大学では初めての情報科学科を創設されました.創設者がともに國澤先生であり,東京工業大学と東京理科大学の情報科学科は同じカリキュラムであると先生から伺っております.したがって日本初の「情報科学科」といえます.

 本学科の「情報科学」は,創設時から「数学」を重視し,数学(数理面)を基盤として「数学分野」,「オペレーションズ・リサーチ(OR)分野」「計算機分野」の3分野がお互いに重なり合って情報科学を構成し,これからの日本の社会にはこれらの分野の知識をバランスよく学び,情報を数量化し科学的に分析する能力を身につけることが重要であるとして日本で初めて創設されました.

 創設時から20数年経った頃,若干の見直しを学科教員で行い,本「情報科学科」は,これまでと同様に「数学」を重視し,数学(数理面)を基盤として,自然,社会,人間の各現象に関わる「情報」をどのように数理的に扱うのかを対象とする「基礎数理情報」,実用上の問題へ情報数理の応用を対象とする「応用数理情報」,情報を処理するシステムを対象とする「計算機科学」の3分野がお互いに重なり合って情報科学を構成するとしました.本質的には,「数学」を重視し,数学(数理面)を基盤としての3分野から構成される情報科学,そして教育と研究の方針は創設時と同じであります.

 情報科学科が創設されてから半世紀近く47年が経過し,これからの人間がより住みやすい未来社会(Society 5.0)の実現へ向けてのデータサイエンスが注目される昨今,48年目である令和5年 (2023年) の4月から,本学科は「情報科学科」から「情報計算科学科」に名称変更となりました.これまでと同様に「数学」を重視し,数学(数理面)を基盤として「基礎情報数理」,「情報データサイエンス」,「コンピュータサイエンス」の3分野がお互いに重なり合って「情報計算科学」を構成しています. 学科名称変更となっても,本質的には創設時からの考えに基づいた「情報科学」,学科の構成や教育と研究の方針は半世紀近く経つ現在も受け継がれています.

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