構造健全性の把握 - Structural Health Monitoring -
加速度計測による構造モニタリングシステムの開発
日本では,高度経済成長期に入って多くの社会基盤構造物が整備されました.そして,それらの構造物が一斉に老朽化し,耐用年数と言われている50年を迎えようとしています.全ての社会基盤構造物を一斉に点検し,さらに修復したり,建て替えたりする...そんな経済的余裕は今の日本にはありません.より効率的に健全性を把握できれば,より経済的な維持管理ができます.
そこで,MEMSセンサ技術を活用して,構造物の加速度応答を取得し,そのデータを解析することで構造物の異常を診断します.さらに,構造解析をすることで,構造物の状態を推定する技術の開発を進めています.
研究テーマ例
- 道路情報板の異常検知システムの開発
- 送電ケーブルの異常振動検知
振動とは異なる情報を使った状態把握
音や画像を使ったセンシングシステムの開発
振動を使った異常検知以外にも,音や画像を使って状態を把握する技術の開発を進めています.例えば構造部材が折れる時には破壊音が発生します.加速度センサは,壊れた部材にセンサを設置していないと,振動を計測することができません.一方,マイクロフォンであれば,近くに設置していれば音を拾うことができます.また,人間が破壊音を聞くと,どこかが壊れたことが分かります.これをAI (Artificial Intelligence)技術により検知することを目指しています.
また,画像センサにも着目しています.例えば送電鉄塔では,冠雪により構造部材が破壊したり,電線がショートしたりする事故が発生しています.雪景色を撮影した画像から,冠雪による荷重が推定できれば,対策をとることができます.
研究テーマ例
- 構造部材破壊音を検知する機械学習モデルの開発
- 画像を用いた状態把握
研究室のもつセンシング技術を実現場へ展開,応用する.
無線センサネットワーク,GPS,加速度計測,逆解析
これまでの技術開発の中で,コアとなる技術が育ってきました.そして,企業の方や他大学の先生の目にとまり,共同研究をすることになったものもあります...自分の技術が社会から認められ,実際の社会に役立つ技術として磨かれていく過程は,とても幸せなものです.卒研生の皆さんも,自分の卒業研究が社会の一部で使われている事を想像してみてください.カッコいいでしょ?