皮膚炎症を制御する分子メカニズム
アトピー性皮膚炎モデル 乾癬モデルマウスの構築

STAT3は様々な炎症性サイトカインの下流でその活性を制御するシグナル分子です。この分子に変異を持つヒト患者は、高IgE血症を発症し、重度のアトピー様の皮膚炎を発症することが知られている。SOCS3はSTAT3の働きを抑制的に制御するシグナル分子です。皮膚特異的にSOCS3あるいはSTAT3を欠損するマウスを作成すると、いずれのマウスも生後15週令を過ぎると皮膚炎を自然発症するとともに、IgE抗体価が上昇します。すなわち、皮膚でシグナルが亢進された場合、シグナルが入らなくなった場合いずれにおいても、アトピー様の皮膚炎が発症します。興味深いことにSTAT3の欠損マウスでみられる皮膚炎は、IgE反応がないIL-4R欠損マウスとの掛け合わせでは、皮膚炎の発症が消失します。一方、SOCS3欠損マウスでみられる皮膚炎は、この条件でも皮膚炎の改善は見られません。この事から、STAT3欠損マウスでみられる皮膚炎は、Th2反応を介するアトピー性の炎症であるのに対し、SOCS3欠損マウスでみられる皮膚炎は、Th17を介した皮膚炎である乾癬様の病変であることが分かりました。従って、STAT3の欠損マウスはアトピー性皮膚炎のモデル、SOCS3欠損マウスは乾癬のモデルとしての有効性が想定される訳です(Plos One 2012)。





 

 

 
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