新入生へのアドバイス


実験ノートの書き方

実験ノートとは:
1. 実験ノートは記録として後に研究室に残すもので、特許申請の際、証拠書類となるものである。したがって、ページ毎に日付を記し、実験の前後に速やかに記載すること。ノートは後日まとめて整理するものではない!
2. ノートは研究室の共有財産であるから、誰が見ても判るように心がけて記載すること。
3. セミナーのメモ用、自習用のノートとは区別すること。

実験前に書いておくこと:
1. 年月日
2. 実験のタイトル
3. 実験の目的、大まかな計画、方法
4. プロトコール:これを見ながら実験するので、材料名、反応温度、反応時間など詳細に書いておく。まったく同一のプロトコールを繰り返す場合は、2回目以降は「○○ページのプロトコールと同じ」と書いてもよい(慣れるまでは繰り返し書く方がよい)。但し、少しでも変更点があれば記入しておく。

実験中に書くこと:
1. 「プロトコール」の項目毎に、その作業が済んだらチェックする。実験中に気づいたこと、変更した点などを余白にメモする。
2. データ:ゲルの写真、測定値等の記録紙などはすぐにノートに貼り、必要なデータは書き込む。

実験後に書くこと:
1. データ:オートラジオグラフ、FACSのヒストグラム、表、グラフなど、解析・整理したデータをノートに貼る。大量の生データは日付を記入してフォルダーあるいはパソコンHDやMOに整理する。その場合、ノートにはデータの行き先を書いておく(例:「生データはFACSフォルダーNo.1へ。MO/No.1へ。」等)。
2. 結果:どういう結果が得られたかを明確な文章で記載する。「成功」とか「失敗」といった記載は不可。何年後に見てもその結果が理解できるように書く。
3. 考察:実験結果の解釈、明らかになったこと、わからなかったこと、実験の問題点、などを文章で書く。
4. 次の方針:再実験、変更、次の実験、実験終了、中止など。



成功の確率を上げるためには、つまらない失敗を減らすことが重要である。そのためには…

実験を始める前に:
1. 目的(何を知りたいのか、得たいのか)を明確にして、ノートに書くこと。
2. 熟考し、議論して、行う実験は必要十分か、プロトコールに間違いがないかどうか何度も確かめること。特に、ポジティブコントロールとネガティブコントロールを忘れないこと。
3. 実験プロトコール(サンプルの並びも含む)をノートに書くこと。

実験を行うにあたって:
1. 基本的に実験はやり直しできないものと考え、神経を集中して行うこと。
2. すばやく手際よくやること。
3. 決めたプロトコール通りにやること(±1/100以下の精度で)。
4. やむなく変更した場合、変更した点をノートに記録すること。
5. サンプルの取り違えをしないよう、あらかじめチューブにナンバーを書き、チューブを常に順番通りに並べること。(勘違いは必ず起こるからfail safeを心がけよ!)

実験が終わったら:
1. まず、データに日付とサンプル名を記入すること。(覚えてはいけない)
2. データは速やかにノートに添付、記載すること。(放置されたデータは死ぬ)
3. きれいなノートにするのはさほど重要ではない。まず、情報をもれなく記載すること。ページ毎に「日付」をかならず記入する。
4. データをよく吟味し、「結果」と「考察」を文章でノートに記載すること。
5. 予想外のデータほど重要な発見につながることを銘記せよ。