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研究紹介

植物を探求し利用するために。

 植物の種子ができるときには、栄養成長に関わる遺伝子から、生殖を担う遺伝子への切り替えが起こる。受粉後、胚の形成と次の世代への贈り物として種子貯蔵物質生合成がなされる。当研究室では、植物に関わる生命現象のうち、種子成熟のメカニズムについて、イネを主な材料にして分子生物学、分子遺伝学の観点から解析を行なっている。環境ストレスに強いコメ、多収のコメ、うまいコメを作るのも研究テーマのひとつである。
 
 



























 今後の世界規模での食糧危機や、地球温暖化などの環境の悪化を乗り切るために、作物の生産性向上や環境適応性の拡大を、遺伝子工学的手法を利用した手法により達成したい。植物がもっている機能を最大限に利用し、多くの収穫が可能な作物や、悪い環境にも負けずにすくすく育つ作物の育成、さらに、従来の育種法では達成できなかった新しい機能を有する組換え植物の育成とその利用の研究を行なっています。自分たちの研究の成果により、世界中の人が飢えることなく暮らせるようになること、これがわれわれの願いである。

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研究テーマ1

 

1.未熟種子における細胞内情報伝達系遺伝子の機能解析


 ほとんどの植物は種子の形で子孫を残す。種子はそれ自体、完結した個体を形作る能力を有し、そのために必要な遺伝情報とこれを発現させるために必要なエネルギーが貯えられている。花が咲き、受粉したあと、種子形成の過程が始まるが、イネの場合、胚乳において大量の貯蔵デンプンが生合成される。しかしながら、種子形成の過程は、一気に行なわれるものではない。受精をきっかけに、胚形成、胚乳における貯蔵物質生合成、乾燥と休眠などの過程が順番に起こり、種子が完成する。これらの一連の過程は、定められた順番で起こるため、これを統御する制御系が存在すると考えられる。

 種子などの貯蔵器官などの非光合成器官はシンク器官と呼ばれる。シンク機能は植物のバイオマス生産性を作用する重要な因子である。未熟種子特異的なプロティンキナーゼ(SPK)は、種子貯蔵物質の生合成に関わるショ糖合成酵素の機能を制御する。当研究室では、SPKを中心としたシンク機能を決める鍵因子の探索と、これに関わる情報伝達系や制御因子についての研究を行っている。また、ユビキチンやSUMOによるタンパク質修飾や非コードRNAなどの機能解明を目指している。

 また、マイクロアレイ技術を利用した種子形成時期に機能する遺伝子発現の網羅的な解析をおこなっており、未熟種子における細胞内情報伝達機構および遺伝子相互作用を明らかにしたいと考えている。
 

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研究テーマ2

2.イネの分子育種と分子農業

 
 組換え体植物を利用した物質生産するシステムは、バイオマス資源を有効活用した新規な物質生産系として大きく注目されている。分子農業(Molecular Farming)と呼ばれるこのシステムは、活性型の真核生物型の遺伝子産物を生産することが可能である。また、この方法は、大気中の二酸化炭素と水を主原料とし、太陽エネルギーを利用して物質生産する。特別な設備を必要とせず、従来の農業生産システムを利用するため、地球環境に対する負荷が非常に少ないクリーンな未来型の物質生産システムである。われわれは、イネにヒト型の抗体遺伝子を導入し、形質転換植物において、この大量遺伝子の発現を確認している。植物によって生産された組換え体抗体は、安価に大量供給ができるため、治療用・臨床検査用の抗体材料を提供する系として利用できるものと期待される。また、昆虫由来の抗菌ペプチドを生産するイネの作出にも成功している。さらに、生分解性プラスチックの生産法の確立を目指している。

 当研究室では、分子農業(Molecular Farming)のためのシステム構築を目指している。形質転換によりバイオマス生産性の向上や環境適応性拡大の可能性を探っている。また、環境汚染物質を分解する能力を有する酵素を植物に導入することで、環境改善植物の構築を試みている。
 
 
 

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