研究目的
 ナノポーラス材料を用いた吸着現象は、ガスの分離・貯蔵・精製や溶液中に存在する特定の物質・イオンを除去する目的で使われている。分子やイオンの吸着機構の解明には多角的な解明が不可欠であるが、ナノ細孔内に制約された分子やイオンの構造や状態を外部から直接に観測することは困難である。とりわけ、現代のナノテクノロジーを支えているプローブ顕微鏡による観察は不可能であり、他の手法による解析が不可欠である。ここでは、ナノポーラス材料に対する分子吸着機構を半経験的計算により解明することを目的とする。ターゲットとする材料は、現在、様々な分野で用いられているカーボンナノチューブとし、分子吸着機構の解明及び材料設計の指針を与えることに力点をおいた研究を展開する。

将来の方向性
 分子吸着を視覚的に捉えることで、その基礎的なメカニズム解明につながる。また、材料の設計を理論的に行うことで、今後、様々な分野で必要とされるナノポーラス材料を創製するための基盤を構築できる。例えば、化石燃料に替わる次世代エネルギーとして注目されている水素やメタンといった物質の貯蔵に適した材料の設計も可能である。

キーワード

 グランドカノニカルモンテカルロ(GCMC)シミュレーション、カーボンナノチューブ、分子吸着