研究目的
 パラフィンワックスとは、常温では固体であるが、加熱すると低粘度の液体となる飽和炭化水素であり、撥水性、可塑性、電気絶縁性など優れた性質を示すため、紙・繊維の加工、潤滑剤、蓄熱剤等に広く利用されている。ワックスを水中に分散させてエマルションにすると、表面コーティングが容易になるといったメリットがある。しかし、現在製造されているワックスエマルションには界面活性剤が多量に添加されているため、ワックスの特性が低下してしまうだけでなく環境や生体に対しての安全性に乏しいという問題点がある。一方、界面活性剤の一種であるポリグリセリン脂肪酸エステルは、食品添加物として許可されている安全性の高い非イオン界面活性剤である。そこで本研究では、少量のポリグリセリン脂肪酸エステルを用いて、ワックスの特性を維持した安全なエマルションを調製することを目的としている。

将来の方向性
現在までに、界面活性剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルを添加して調製したところ、3ヶ月の分散安定性を示すエマルションができた。食品用乳化剤を用いることで、例えば食品包装用の紙材に塗布し、防水性を付与することが可能となる。さらに、ワックスは化粧品類の基材としても用いられているため、人体に安全な化粧品開発にもつながる。


キーワード

 ワックスエマルション、ポリグリセリン脂肪酸エステル


関連装置

超音波ホモジナイザー    →  エマルション調製
光散乱光度計        →  粒子径測定