研究目的
リポソームとは、生体膜の主要構成成分であるリン脂質からなる二分子膜の閉鎖小胞体である。リポソームは生体適合性に優れており、水溶性 ・油溶性薬物を内包できることなどから、薬物送達システム (DDS)の担体としての応用が期待されている。近年、DDS分野において、薬物を目的とする部位でのみ選択的に放出するターゲッティングリリース機能を付与したリポソームの研究が盛んに試みられており、特に細胞内外のpH差を利用したpH応答性リポソームに注目が集まっている。そこで本研究では、特定pHで解離度が変化する物質を添加することにより高い保持効率、安定性を持ち、かつ高いpH応答性を発現するリポソームを調製することを目的としている。

将来の方向性
DDSを指向したpH応答性リポソームの研究で重要視されることは、目的とするpHで応答性に優れること、血中pHで安定であること、体内温度で保持効率が高いことである。本研究では、血中pHであるpH7.4付近において高い薬物保持能を有し、物質が血中から細胞に取り込まれる(エンドサイトーシス)の際のpH5.0で高い薬物放出率を有するリポソームの調製し、有効な薬物送達システムを確立することを目的とした検討を行っている。

キーワード

 pH応答性リポソーム、DDS、エンドサイトーシス、ターゲティングリリース、保持効率


関連装置

分光蛍光光度計、       →  内包薬物の放出率測定
示差走査熱量計 (DSC)     →  相転移温度測定
動的光散乱測定装置       →  粒子径測定