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研究成果

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研究室の実験設備

実験設備

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Study

柴研究室では,50kHz〜100MHz程度の周波数を用いた測定や計算を得意としています.例えば,下記のようなテーマを近年は行っております.研究の詳しい内容は,見学にきてもらうとよくわかると思います.国立私立大学,病院,医療メーカ−,国立研究所等と共同研究を行っているテーマもあります.

補助人工心臓用ワイアレス電力伝送システム(経皮エネルギー伝送システム)の開発 (共同研究)
(体外結合型トランス,空心偏平型経皮トランス,ウェストリングコイル)
Development of transcutaneous energy transmission system for ventricular assist device

 

3相経皮エネルギー伝送システムの開発(位相をずらした3相コイルを用いて,経皮電力伝送することで,放射電磁ノイズを抑制する研究.コイルの小型化,ずれの精度調節などが課題) (共同研究)

 

経皮エネルギー伝送システムから発生する電磁ノイズ(放射性妨害波・伝導性妨害波)の測定と抑制の研究(インバータ,経皮トランス,整流ダイオードなどから発生するノイズを専門の測定装置で測定.CISPR規格との比較.) (共同研究)

 

体内埋込医療機器の電磁ノイズに関する研究 (共同研究)
例:補助人工心臓から発生する電磁ノイズの測定など.今までに考慮されていなかった体を介したノイズなど ,新しいことを調査中.
EMC study for implantable medical devices

電磁波を人体に照射したときの電磁生体影響(SAR,誘導電流)の解析
(電磁界解析ソフトや3D人体モデルを利用してコンピュータで計算.人体モデルを使った大規模計算から,簡易モデル計算まで.)
Analysis of the biological effect around the wireless transformer

体内深部小型埋込医療機器へのワイアレス電力供給とその実用化のための研究
(病院や,一部,企業とも共同研究)
カプセル内視鏡,ペースメーカなどの数cmの体内埋込機器や,神経刺激層装置,体内埋込型癌検出センサなどの1〜2mmの小型体内医療機器を対象に,容量結合方式や電磁誘導.,磁気共鳴方式など様々な方法を用いて,無線電力伝送方法を検討する.伝送周波数も,数100kHzだけでなく.数MHz〜10MHzオーダーも検討する.実用化のために,電磁生体安全性の検討も行う.さらには,放射磁界の検討も行う.
Wireless energy transmission system to implantable device placed deep inside the body using magnetic induction and capacitive coupling

体内深部埋込機器から体外への無線通信伝送(一部,企業とも共同研究)
(情報伝送方法は,電磁誘導型,容量結合型情報伝送システムなど,デジタル化,体内に埋め込んで1週間程度の連続動作が目的,深部に埋め込むものは,生体組織で電波が届かなくなるため,特殊な無線通信装置が必要になります.これらを開発しています.体内留置型センサは,循環器,消化器など,いろいろな検査装置として,これからとても重要になります.近年力を入れて研究しています.)
Wireless information transmission to implantable device placed deep inside the body using capacitive coupling

 

手術時に使う生体組織の融着システム(共同研究,電磁力をつかって,熱で生体組織をくっつける方法.止血などに役立つ方法を考える.)
Low-level energy adhesion system using magnetic field for surgical operation

ハイパーサーミアによる深部癌治療システム(一部,材料工学科とも共同研究)
(電磁誘導型,誘電加熱型,これらを融合させたタイプなど,膵臓癌をターゲットとし,深部のみを加熱して癌細胞を死滅させる方法を見つける.膵臓は深部にあり,熱も逃げやすい.難しい研究だけど,必要な研究.)
Deep local hyperthermia system

 

電磁力を用いた新しい非接触AEDシステム
(磁界を人体中の心臓全体に照射することで,心室細動(VF)を停止させる方法を見つける.)

人体組織の電気特性(低周波での導電率,比誘電率の測定方法の研究,フェライトコアを用いて,ケースに入れた生体組織を非接触で測定する.精度を上げる必要がある.)
Wireless measurement for conductivity and permittivity of human body tissues

MRICTのデータを用いた電磁界解析用3D人体モデルの作成
High resolution Human body model for electromagnetic simulation 

 

高周波音(ハイレゾ音響)に関係する研究 (進行中)

 

 


研究室で発表した論文の一部 (一部ダウンロード可)

(1)医学系

・完全埋込型人工心臓用体外結合型経皮エネルギー伝送システム―電気工学的観点からのin vitroおよびin vivo評価―,人工臓器,第27巻第2号,pp.341-346,1998.(PDF)

 

・Analysis of Specific Absorption Rate and Current Density in Biological Tissues Surrounding Energy Transmission Transformer for an Artificial Heart: Using MRI-based Human Body Model, Artificial Organs, 34, 1, pp.E1-E9, Jan 2010  

 

(2)電磁環境,電気系

K. Shiba, Measurement of High-Frequency Patient Leakage Current from a Transmitting coil in a Transcutaneous Energy Transmission System for Ventricular Assist Device, IEEE Transactions on Electromagnetic Compatibility, pp.1-9, 2022, doi: 10.1109/TEMC.2022.3181171.
https://ieeexplore.ieee.org/document/9814966 ( Early Access )(cited 2022-7-7).

・完全埋込型人工心臓用経皮エネルギー伝送システムのEMC,電気学会論文誌C,第123巻第7号,pp.1219-1227,2003年7月.(PDF)

 

・Analysis of Current Density and Specific Absorption Rate in Biological Tissue Surrounding Transcutaneous Transformer for an Artificial Heart, IEEE Transactions on Biomedical Engineering, Vol.55, No.1, pp.205-213, Jan. 2008.

 

・Design and development of low-loss transformer for powering small implantable medical devices, IEEE Transactions on Biomedical Circuits and Systems, VOL. 4, NO. 2, pp.77-85, APRIL 2010

 

・Electric Power Feeding Room for Notebook Computers - Analysis of SAR and Internal Electric Field in Human body -, Proceedings of the 2011 International Symposium on Antennas and Propagation (ISAP 2011), FrE3-3, p.1-4, JeJu, Korea, Oct. 25-28, 2011.


研究と関連している学会

日本人工臓器学会、日本生体医工学会、ライフサポート学会、日本人間工学会、IEEE(バイオメディカル、マイクロ波分野,アンテナ分野,EMC,電力伝送関連)、ASAIO、バイオメカニズム学会、日本機械学会(特に医療機器分野,精密機器分野)、電気学会、電子情報通信学会(電力伝送,EMC, アンテナ,通信関連),日本生活支援工学会, ハイパーサーミア学会,日本AEM学会, 日本音響学会

 

 

協力関係にある施設など

国立循環器病研究センター人工臓器部,サンメディカル技術研究所,茨城大学,芝浦工業大学,東京電機大学,東京女子医科大学,東京医科歯科大学,日本医科大学,セイコーインスツル,KOA,ニプロ,愛媛大学 等

 

コメント

実は,電気・電子・電磁波技術を使った治療機器や人工臓器は,日本ではいままでほとんど治療に利用されていません.しかし,最新の技術を使ってこれらの治療機器を開発すれば,今まで助からなかった患者さんを助けることでき,医学に大変貢献できることが世界中の医学研究から明らかになってきています.日本では,あまりニュースにはなりませんが,世界では循環器(心臓・血管),消化器,癌の治療などの分野で,これらのハイテク医療機器は次々と誕生しています.膨大な需要があるにも関わらず,研究が追いついてないのが現状なんです.我々は10年先まで考えた新しい医療機器を開発することを,目的にしています.大きな夢を持って,じっくり考えて,世の中に貢献できるものをつくっていきたいと思っています.また,最先端の医療機器を研究開発できる力を持った優秀な人材を,医工学界や社会に生み出していきたい思っています.


学生の募集状況

いろいろなテーマをみんなで手分けして行っています.日本初の医療機器や電磁パワーを使ったハイテク機器をを作ってみたいと思っている学生,電磁波そのものに興味を持っている学生,電磁気,電気回路(特にハードウェア)に興味がありもっとよく学びたいと思っている学生,臨床工学技師などに興味がある学生,学会発表をして研究者になりたいと思っている学生,医者になりたかったという学生,病院関係の仕事につきたい・つきたかったと思っている学生等,歓迎します.また,電磁ノイズ関連の研究も多く行っています.ノイズって見えないものなのに,研究なんてできるの?と思うかもしれませんが,プロが分析すると,原因もわかますし,消すこともできるんです.電磁ノイズが関係する研究(たとえば,電気自動車への非接触充電など)に興味があるひとも歓迎です.医療,生体,電磁気,電子電気回路,ノイズ等に関係する研究ができる最新測定装置がそろっています.ただし,電気回路の前半部分(電気回路の基礎から変成器の部分まで)は,研究を行う上で必須なので,研究室に入る前にきちんと学んで来てください.また,柴が,電気回路1の授業担当のため,何人かの院生には電気回路1演習のTAにもなってもっています.

これから研究を始める学生へ

・研究をするための実力
研究をこれから始める3年生や、大学院に入ったばかりのみなさんに向けてかきます.多くの皆さんは,“将来ずっと研究をしたい”と考えていると思いますが,どうしたらこれができるのでしょうか.もちろん、大学にいる間に,日本発、世界初の今までになかった新しいものを作って,誰からも認められる有名な研究者になってしまえばよいのですが、それには時間が短すぎます。
 では、開発途中段階にいるみなさんが、大学や大学院を卒業して,数十年経ってからも研究者として企業や研究所で生き残っていくためには,今,何をやっておけばよいのでしょうか.おそらく,研究ができる真の力をできるだけ身につけておくことかと思います.また,自分は研究できるんだぞ!というの成果をつくっておくことも重要になります.真の力ってなにか,皆さんは何かわからないと思いますが,わかるひとからみると,力があるかないかすぐわかるんですね.その力をつけるためには,ある程度,時間を使い,経験をつむことも大事です.要領よく短時間に,っていうわけにはいかないものです.
  成果の指標は何かというと、世界でも日本でも,一般的には、学会での発表や、学会誌に掲載される論文が重要になります。将来、研究や開発を行いたいと考えている人は、民間企業でも、「自分で研究をやって,その成果を学会で発表した経験がある」ってことになれば,この人はきちんと研究開発ができる人と思われるでしょう. 学会で発表できるということは,論理的に物事を考えることができ,実験などがきちんと整理でき,さらには,研究チーム内でも人間的
にうまくやっていけるということ意味しますよね.世界にとび立ちたいと思っているひとは、なおさらその“研究を行う力”があるという証拠が必要なのです(英語以外に・・)。

・就職
 よく,医療工学系の研究室にはいったら,就職はその分野に限定されてしまうのですか?と聞かれます.
 医療工学で成果を上げた人が、医療系の企業にしか入れないということは決してなく、情報系や電気系(パナソニック、ソニー,三菱重工,ホンダなど)の大手企業にも多く入っています.最近は自動車関連業者にも多く就職しています.また,医療工学をやっている学生(特に院生)は,医療機器メーカが優先的に採用してくれる傾向があるようですので,将来,医療機器を作りたいと思っているひとは,是非,在学中に医療工学や専門知識を身につけておき、卒業までに医療系・福祉系の学会で多く学会発表しておくことをすすめます.
 柴研では,人への安全を考えた研究も多く,JIS, ISO, IECなどの国際規格(またはこれから登場する新しい国際規格)を複数取り扱っているので,メーカに入ってから即戦力になることが多いと思っています.また,B4から学会発表などをしますが,医療機器メーカや病院などと繋がりもできたりしますので,メーカのイメージ等を知ることができ,学んでいる間に今後の就職について考えることもできます.

・まとめ
 柴研究室では、研究と学会発表を活発に行っています。また、新しい医療機器の開発を行っているので、まだ誰も知らないような新しい研究もあります。学部生も院生も、研究や実験のやり方や、専門の測定機器の使い方,学会発表用の実験データの取り方のノウハウや、論文の書きかた、実験計画の立て方,研究の考え方なども学んでいけます(もちろん,自分でも積極的に勉強してくださいね)。また、他の施設の方との共同研究(大学病院、国立研究所,大学、企業)も活発に行っています.よって,企業の研究者や,(普通ではお会いできないような偉い)お医者様とお話する機会もあります.普通は理科大の場合は,大学院になってから学会発表をし、4年生は卒論発表だけのことが多いですが、柴研では4年生にも学会発表にトライしてもらい、4年生のうちから活発に研究を行っています.研究が好きな人が多い研究室かと思います.柴や学生の学会発表などは,Publication2を,学術雑誌への掲載は,Publication1みてもらったら良いかと思いますが,他の研究室と比べると大変多いことがわかると思います.